性同一性障害(性別違和・性別不合)の歴史|GID・MTF・FTM の総合診療・診断・ホルモン療法・性転換手術
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♦性同一性障害(性別違和・性別不合)の歴史

アメリカ人第一例目

Christine Jorgensen アメリカ人第一例目はChristine Jorgensen(1926-1989)と言われている。
性転換前の名前はGeorgeで、アメリカ軍の軍曹として朝鮮戦争にも参加した。除隊後1950年デンマークに行き、Christian Hamburger 博士の治療を受ける。4ヶ月のホルモン治療ののち、男性性器の除去と外見的女性化の手術を受けた。 1952年12月11日の朝日新聞は「軍曹変じて女性に」という見出しで、この衝撃的なニュースを伝えた。同時期世界中の新聞がこのことを報道していた。

性転換の夜明け

Christine Jorgensenのことが報道されると、世界中の同じ悩みを抱えた男女が多数博士のもとを訪れ、特にこれから1955年頃まで一種の「性転換ブーム」が起きるのである。

アメリカの歴史

1966年のハリーベンジャミン、“The transsexual phenomenon”発表1966年のハリーベンジャミン、“The transsexual phenomenon” 発表

60−70年代:gender clinic 乱立(民間保険カバーあり)
ジョンズ・ホプキンス大学など

80年代:保険のカバーがなくなり、gender clinic  の閉鎖相次ぐ

現在:限られたgender clinicで医療がおこなわれている

ハリー・ベンジャミン

ハリー・ベンジャミン1885年ドイツ・ベルリン生まれ。
医師となった彼は1913年結核の研究のため渡米。1年後、第一次大戦に突入、帰国のため乗船した船がイギリス軍に拿捕され捕虜収容所に収容されるがベルリンではなくニューヨークへ行くことを条件に釈放される。アメリカへ戻った彼は1915年よりホルモンの研究を独自に始め、その後ベンジャミンは「性転換」に関心を持つようになり研究を始め、「性転換」の研究の第一人者となる。1966年51人のMTF性転換者の事例をもとに研究の集大成というべき著書「The Transsexual Phenomenon(性転換現象)」を発表。

日本の性転換

日本で最初に性転換手術を受けたと言われる人は永井明子(1918-?)という人である。男性時代の名前は明雄。1950年8月に去勢、1951年12月に造膣と隆胸の手術を受けている。手術後家庭裁判所に性別の変更を申し出て、認められたようだが、未確認。

手術では陰茎を短く切ってそのまま陰核としたという。この小さな人工陰核は性的に興奮すると勃起してしまったらしい。

ブルーボーイ事件

Christine Jorgensenのニュース以降は、かなり盛んに性転換手術が行われていた。

1964年に東京の青木正雄医師が3人の男性(男娼)に性転換手術をおこなったものが「優生保護法違反」の名目で摘発された事件である。

※この時期、警察は性転換して女性になった街娼の対策に手を焼いていた。彼女らはほぼ全て戸籍を変更していないため法的には男性である。そのため、1957年施行の売春防止法で取り締まることができなかったのである。そこで、優生保護法の「この法律で認めた以外に、性的に不能にする手術はおこなってはならない」という乱用防止規定を無理矢理、性転換手術に対して適用して「男性の街娼」そのものの発生を止めようとした。

暗黒時代

性転換手術自体は合法であるとしながらも、青木医師が患者の治療の記録をきちんと取っていなかった、つまり「闇の手術」的におこなっていたことを指摘して有罪とした。

その後30年近く、多くの医療機関が、青木医師が有罪になったということを重く受け止め、性転換手術に対して消極的な態度を取るようになってしまった。

1979年:名古屋高裁が、性別適合手術後のMTFの戸籍変更を認めなかった。根拠として、「性別は染色体によって決められるべき」とした。

暗黒時代から夜明けへ

埼玉医科大は1995年同大の倫理委員会に、男性への性転換手術を希望する女性の手術の承認を求める申請をおこなう。1998年10月16日に一例目の手術となった。

2003年、特例法制定

海外の法律

性転換に関する法律が制定されている国(→戸籍の変更が認められている)
1972 スウェーデン (性の転換に関する法律)
1973 カナダの2州
1977 ケベック州
1980 西ドイツ(トランスセクシャル法)
1982 イタリア (性別表記の訂正に関する規範)
1985 オランダ
1988 トルコ
    オーストラリアのサウスオーストラリア州(性別適合法)
1995 ニュージーランド (出生、死亡及び婚姻登録法)
2003 イギリス(gender recognition act)

裁判の結果認めている国(→法律は制定されていないが、変更を求める裁判を起こせば可能)    
スイス、フィンランド、フランス、スペイン、ルクセンブルグ、ポーランド、ポルトガル、韓国

行政が認めている国(→身分証明書の中でパスポートや保険証の変更が認められている)   
デンマーク、オーストリア、ノルウェー、アメリカのいくつかの州

アメリカの法律

アメリカでは20あまりの州の法律で、性別適合手術を受けた人が出生証明書の性別訂正ができることを明記。
テネシー州では手術後も性別表記の訂正を認めていないが、国によって発行されるパスポートなどの性別表記は訂正することができる。

海外の保険事情

<保険が適応になる国>
オランダ 
ノルウェー
スウェーデン
フィンランド
カナダの一部の州
オーストラリアの一部の州

<アメリカ>
メディケイドの適応をおこなっている

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